2009年1月13日火曜日

<イタリア便り9> オリジナルのフォルテピアノ

先週の1月6日、7日、イタリアは大雪に見舞われ、ミラノは40センチの積雪で1985年以来の記録的大雪だったそうです。私は、昨秋からコモ国立音楽院のチェンバロ科マスターコースに在籍していますが、そんな大雪の大混乱の中、今年は7日から学校が始まりました。

道にはまだ雪が残る中、11日(日曜日)はリハーサルのためベルガモに行って来ました。来月14日にフォルテピアノで私の教授と「モーツァルトと同時代女性作曲家」を取り上げた演奏会があり、モーツァルトの4手のためのソナタを合わせました。

教授のお家には、チェンバロ、クラヴィコード、そしてフォルテピアノが2台あるのですが、贅沢なことに、そのうちのオリジナルの1台でリハーサルさせていただきました!1803年ごろのものだそうで、やさしくて本当に美しい音でした。以前にも少し触らせてもらったことはありましたが、今回何時間もモーツァルトの音楽を弾いてみることができ、感動しました。なんとも言えない、とっても魅力的な歴史を感じる音がしました。

この楽器には、モダンピアノのように足で踏むペダルが6つ付いていて(確か)、左から2つ目が、押すと音が伸びる、いわゆる普通のペダルでした。また、演奏会に使う楽器は、1790年代のドゥルケンのコピーなので、ペダルは膝で使用するタイプの楽器です。楽器の中央に2つ付いていて、それをひざで持ち上げます。右が普通のペダル、左が弱音ペダルなので、4手のソナタを弾くときには、一つずつ担当します。この、膝で持ち上げるという動作は、はじめ慣れるのに時間がかかりましたが、だんだん自然に出来るようになって来ました。

チェンバロ科の第2楽器で、初期のフォルテピアノを触るようになりましたが、チェンバロとはまた異なる魅力があり、モーツァルトがとても新鮮に感じられます。昔、ピアノではモーツァルトを弾きましたが、モーツァルト以前のピアノのレパートリーといえば、バッハとスカルラッティくらいで、あまり総体的に知る機会がありませんでした。それが、チェンバロで200年以上にわたるモーツァルト以前のレパートリーに出会った後に、モーツァルトに再会したわけです。そうすると、モーツァルトの音楽言語が同時代のバッハの息子たちに似ていたりして、なるほどな!と思ったりするんです。

そんな新たな発見をしながら、楽しく準備に励んでいる今日この頃です。 

追伸:今日はこれから、チェロのDaniel Muller-SchottとピアノのAngela Hewittによる、ベートーヴェンとショスタコーヴィッチのチェロソナタや変奏曲を聴いてきます。

2009年1月1日木曜日

<イタリア便り8> 賀春2009

明けましておめでとうございます。
このホームページは昨年春に開設したわけですが、これまで訪ねて下さった皆さん、演奏会にお越し下さった皆さん、そして、更新速度がなかなか上がらない、私のイタリア便りを読んで下さった皆さん、本当にありがとうございます。

欧州は平年より雪が多く、ミラノもすでに数回雪が積もりました。イタリアでは、ナターレ(クリスマス)は家族と、新年は友人や恋人などと過ごすのが習慣です。こちらにいると、やはり日本のお正月が恋しいです。年賀状の届くのが楽しみで、朝から何度も郵便受けを見に外に出ていたのを思い出します。

今年は、実家から送ってもらった小包に入っていた屠蘇散とお餅で、お屠蘇と簡単なお雑煮を作って雰囲気を味わいました。昨年は、日本酒はあったのですが屠蘇散が無かったので、いろいろ考えて、日本酒にハーブティーのティーバックとお砂糖を加えて、洋風お屠蘇を作ったら、結構近い感じになったものです!

音楽家としての勉強はもちろんですが、今年は、このイタリア便りももう少し頻繁に更新していきたいと思います。平和な社会に思いを寄せつつ、皆さまの健康とご多幸をお祈りいたします。本年も、どうぞよろしくお願いいたします。